写真で語る時代の証人、クラシックカメラ「ベビーパール」

以前、町内の方から寄贈いただいたクラシックカメラ「ベビーパール」のお話です。

(クラシックカメラ「ベビーパール」)

撮影にはベスト版と呼ばれる3×4センチのフィルムを使用します。
メーカーは小西六(こにしろく)本店、後のコニカで、昭和9年に発売されました。


「光を写し取る機械」であるカメラは1826年、フランスのニエプスによって初めて実現します。
ガラスにアスファルトを塗ったものにレンズを通した光を当てることで写真の撮影を可能としたのです。
1889年になるとアメリカのイーストマン・コダック社がセルロイド製のロールフィルムを開発。
これにより写真撮影が一般へと広く普及するようになりました。


フィルムカメラの黎明期はドイツ・イギリス・アメリカが世界の市場を席巻しており、日本はこうした海外のカメラを模倣するところから開発が始まりました。
もともと薬種屋だった小西六は写真材料を輸入販売する傍ら、日本初のカメラ「チェリー手提暗函」を明治36年に開発。
昭和に入ると同社はドイツのツァイス・イコン社製のコンパクトなカメラ「ベビーイコンタ」に刺激を受けて、ベビーパールを発売します。
ベビーパールはその写りの精度の良さから本家のイコンタを超えると評判になり、多くの愛用者を産みました。
模倣から始まった日本のカメラ作りが、ようやく世界に通じるレベルへ近づいたことを証明したのです。


ちなみに増毛町で写真館が営業を開始したのは明治27年、石川雄之助の石川写真館が最初です。
場所は現在の暑寒町4丁目でした。
町の人に古い家族写真を見せていただくと石川写真館の刻印が押してある写真を多く見かけます。
昭和に入ると写真館も増え、一般の人にも写真を趣味にする人が出てきます。
ベビーパールはそんな時代の増毛の風景を写してきたのかも知れませんね。